klis進路迷子のすすめ

みなさんこんばんは。

筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類2013年度入学生、

つまりklis13(けーりすじゅうさん)のもきたです。

お察しの通り、絶賛卒論執筆中です。

我々卒論生に残された時間はこちらをご参照ください。

 

さて、こちらはklis Advent Calendar 2016の16日目の記事になります。

www.adventar.org

今回、私は卒業を目前に控えたklis13として

klis生の進路に関するお話をさせていただこうと思います。

 

はじめに

2年生以上だと思い当たる節がある方も多いと思いますが、

我が学類は「やりたいこと迷子」「進路迷子」が生まれやすい環境です。

 

実際のところなぜなのかはよく分かりませんが、

とりあえず「やりたいこと迷子」になる原因としては

  • 図書館に興味を持って入学したが、飽きたorあんまりおもしろくなかった
  • 情報を軸に幅広いことが勉強できる学類と聞いて入学したが、ほんとに幅が広すぎてどれをやりたいのかよく分からない
  • 筑波のお買い得学類として見つけ、よく知らないまま進学したが、実際入ってみても自分が何を勉強しているのかよく分からない

などが多いようです。

こうなると不幸ではありますが、「やりたいこと迷子」に関してはあくまで大学在学中の専攻内容とのミスマッチなので、すでに入学した今となっては心を無にして単位を取って卒業するしかありません。

逆にいうと、割り切って卒業さえできればいいという考え方もあります。

 

問題は「進路迷子」です。

 

「やりたいこと迷子」とは違い、自分自身が希望進路を定め、それに向けて行動しないことにはどうしようもありません。

在学中はやりたくなくても勝手に課題が降ってきましたが、進路はいつまで待っても降ってきてくれません。

 

さて、なぜklis生は「進路迷子」になりがちなのかですが、

私は何にでもなれるからではないかと思います。

 

もちろんどこの大学・学部に行ったって、はたまた行かなくたって本人次第で何にでもなれるとは思いますが、

そういうことではなく、klis生の進路選択肢はとても幅広いです。

 

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これは、昨年度のklis卒業生の進路先の構成をグラフにまとめたものです(上記出典を元に筆者作成)。

 ざっくり院進・就職・公務員・その他の比率が2:5:2:1であることが分かります。

半数が就職していますが、その就職先も様々だったようです。

全体的に業界は散っています。

 

「大体みんな就職」「大体みんな院進」という環境だとぶっちゃけ悩む余地がなくて進路選択自体は苦しまないのかもしれませんが、klis生はそうもいきません。

院進、就職、公務員、自分がどの道に進みたいのかじっくり考えて選び取る必要があります。

これが多くのklis生を苦しめる要因です。

恵まれたことでもあるんですけどね。

 

ちなみに私事になりますが、筆者は最終的に就職という選択をしました。

しかし、それを選ぶまでの過程は死ぬほど悩みました(ほとんど死んだ)。

2年生の途中まで院進のつもりでしたが、ある時から悩み始め、3年生丸々悩み、4年生になっても悩み、就活が終わってようやく就職を決めました。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回は

院進・就職・公務員すべての選択肢を悩み、

3つともそれなりのところまで準備を進めた筆者の立場から、

それぞれの選択肢を検討する上で参考になりそうな情報をまとめようと思います。

1人でも多くの進路迷子な後輩たちの参考になれれば幸いです。

 

大学院進学

今回は図書館情報メディア研究科(slis)博士前期課程に進学する前提でお話させていただきます。

 

klisのみなさんは「slisへの院進」となるとどのような2年間を想像しますか?

「研究するんだろうなあ」というのが一般的なイメージですかね。

もちろん2年間の中心には修士論文の執筆があると思いますが、実はそれだけではありません。みなさんが想像する以上にslisはとても面倒見のよい研究科です。

 

slis博士前期課程では

修士(情報学)と修士図書館情報学)の2つの学位プログラムに対応した「情報学修士プログラム」と「図書館情報学修士プログラム」を提供しています。

(中略)

課程修了に必要な単位数は講義科目20単位(10科目)、演習科目10単位(5科目)の計30単位です。

出典:図書館情報メディア研究科 「修了要件/指導体制」

 

そうです、単位を取ります。

しかも30単位です。

これは順調に単位を回収している一般的なklis3年生と同程度の授業量です。

しかも、そのうち10単位が演習科目なので、おそらく3年生より大変なんじゃないかと思います。

15単位×2年なら余裕じゃん!と思うかもしれませんが、

私の知る限り基本的に1年生でほとんどの単位を取りきるのが無難なようです。

なんだったら推薦や前期入試で早めに進学を決めた人は、早期履修制度を利用して学類生のうちに単位回収を始めることがおすすめされるようです。

院進学を選ぶにあたり、この点はきちんと考慮に入れておきましょう。

 

また、忘れてはならないのは

院卒業後、どうするのかです。

これを考えないままとりあえず院進学するのはおすすめできません。

入院進学して1年後にはまた就職活動シーズン到来です。

 

といっても、slisは結構就職に強いらしく(某先生談)、博士後期課程に行く気がないなら進学するなと言っているわけではまったくありません。

就職なら就職で、それをちゃんと見据えて進学した方がスムーズです。

 

はっきり決まっている必要はまったくありませんが、

とりあえずで入ってしまうと2年間は意外と短いです。

 

「自分が院に行きたいかなんて卒論やってみないと分からないよ!」という学類生は、

とりあえず就活ないしは公務員試験の準備をしっかり進めておくことをおすすめします。

どうしても決められないなら、終わってから選べる状況に自分でするんです。

しっかり就活して内定貰ったけど、やっぱり研究したいから院進学します!という人は身の回りにけっこう多かったです。

 

あと、「まあ院進かな」と思っていても、卒業後就職する気なら

やっぱり学類4年で1回就活しておくのをおすすめします。

練習のつもりでかまいません。

就活に対して具体的なイメージを持った上で進学すれば、より有意義な2年間が過ごせると思います。

 

まとめると、

  • 院進学は「追加2年間で30単位修得・修士論文執筆・進路決定を行う」という選択
  • 院卒業後の進路選択によって、4年生の理想的な過ごし方も大きく変わってくる
  • 2年間は意外と短い

って感じです。

 

slis自体はとても魅力的な研究科です。

その環境を最大限に活用できるよう、

自分が将来何をしたいのか、

何になりたいのかをしっかり見つめてから選んでほしい選択肢です。

 

公務員(図書館含む)

入学時「将来は地元の図書館で働きたいなあ」と思っていた人たちが最初に考える選択肢です。

現実はけっこう厳しいので、多くの人はどこかの自治体の行政職に落ち着きます。

 

低学年のklis生向けにお話しすると、「地元の公共図書館の職員(正規雇用)」というのは基本的に狙ってなれる仕事ではありません。

「司書」の専門職採用を行っている自治体も一部ありますが、

多くの自治体は「行政職」として採用された人が、運がよければ図書館に配属されるかもね!という状況です。

 

もちろん図書館は関係なく「地元に戻りたい」「公務員という安定した職業の魅力」「国の行政に携わりたい」などの動機で公務員という選択をする人もいます。

そういう人たちも含めて把握しておいてほしいのが、

公務員講座(学類開設)で対策できるのは教養試験だけ

ということです。

 

これも自治体によりますが、

基本的に公務員試験は「教養試験」と「専門試験」で構成されています。

 

「教養試験」は以下のような内容です。

 

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出典:公務員試験の基礎知識(1)|ダイヤモンド・オンライン

 

簡単に言うと知能テストとセンター試験(5教科7科目すべて)です。

隔週実施の公務員講座(学類開設)では、この教養試験の過去問題を模試形式で解きまくります。

一応解答は試験後に教えてもらえますが、解説や授業などがあるわけではありません。

この模試の結果を踏まえて自分が苦手な分野を確認し、個人的に勉強する、という感じです。

 

それに対して、専門試験は以下のような内容です。

 

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出典:公務員試験の基礎知識(1)|ダイヤモンド・オンライン

 法学、経済学、政治学など、今までklis生にはあまり馴染みのなかった分野の試験です。

この対策は実務教育出版の教材などを活用して自力で行うことになります。

 

つまり、公務員講座(学類開設)はあくまで

「自学自習で公務員試験の準備を進める人向けのペースメーカー」となることを意図しています。

この点を理解した上で受験する自治体・勉強計画を立てることが重要です。

 

地元に戻ることを重視して専門試験の勉強を頑張る人もいますし、

地元にはこだわらずいろんな地域の専門試験のない自治体を探して受ける人もいます。

図書館で働く夢を叶えるために専門職採用をしている自治体を探し、そこの試験形態を見て決める人もいます。

人それぞれです。

 

また、ここでは詳しくは割愛しますが、公務員試験勢には実は

国立大学法人職員」と「私立大学職員」という選択肢もあります。

興味のある人は調べてみてください。

 

まとめですが、

  • 地元の図書館職員(正規雇用)になるのはけっこう難しい
  • 公務員講座(学類開設)は塾ではない
  • 受験計画と勉強計画を早い段階で立てることが重要

という感じです。

 

企業の就活シーズンより少し後まで公務員試験シーズンは続きます。

周りで内定が出始めて気持ちがしんどくなることもあると思いますが、

受験生の時の感覚を思い出して、自分を信じて頑張ってください。

 

就職(企業)

ここまで付き合ってくれている気長なみなさん、ありがとうございます。

最後は就活という選択についてです。

 

といっても前2つのような豆知識的情報はありません。

何を書いても偉そうに聞こえるので正直何も言いたくありません(手遅れ)。

 

ただ、非難を恐れずに伝えたいことが1つだけあります。それは

「考える時間」をしっかり作ってほしい

ということです。

 

自分はどんな人間で

今までどんなことをやってきて

どんなことに難しさと面白さを感じて

どんなことを仕事にしたいと思うのか

女の子なら、「仕事と結婚」に対して自分がどんな価値観を持っているのか

 

そういうことを丁寧に考える時間をどれだけ割いたかで今後が決まると思います。

それは内定が取れる取れないということではなく、

「やりたいこと」と「向いてること」のミスマッチのない、自分に合った選択肢に出会えるかということです。

 

趣味を仕事にするのが幸せな人もいれば、

趣味と仕事を分けるのが幸せな人もいます。

そういうことも、考えてみないことには分かりません。

 

しっかり考えてしっかり調べるタイミングは、

なにもマイナビリクナビのアカウントを作る時だけではありません。

答えが出るのは早ければ早いほど自分が楽です。

でも、遅くてだめだということもありません。

 

「進路どうしよう~」と思ったタイミングが、

あなたの考えるタイミングです。

 

まとめです。

  • 気長なみなさんありがとうございます
  • 「考える時間」をしっかり作ってほしい
  • 「進路どうしよう~」と思ったタイミングが、あなたの考えるタイミング

こんな感じです。

 

最後に

 

今回お話しした内容は、あくまで私個人の考えであり、感想です。

異なる認識や考えを持っている人もたくさんいると思います。

 

なので、後輩のみなさんは「4年間klisにいてそういう答えになった人もいたんだなあ」くらいの認識でこの記事を受け止めてもらえたら思います。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。